竹凛共振プロジェクト10周年。放置竹林から世界へ響く共

北九州市合馬の放置竹林を再生し、竹チェロや竹バイオリンを制作・演奏する「竹凛共振プロジェクト」が10周年を迎えました。廃棄される竹に命を吹き込み、自然と音楽、地域社会が響き合う未来を目指す私たちの歩みと感謝を綴ります。手作り楽器が奏でる唯一無二の音色、環境保全への想いそして世界へ広がる共鳴。10年間の軌跡とこれから創り出す文化の象徴としての決意をお届けします。

目次

  1. 10周年の節目に寄せて―支えてくださった皆さまへの感謝

  2. 始まりは北九州・合馬の竹林から。廃棄される竹が竹宝へ

  3. 竹チェロ・竹バイオリン世界にひとつだけ竹楽器

  4. 音楽で環境を守る。地域資源の活性化と「竹文化」の継承

  5. 「共鳴」は国境を越えて。自然・音楽・人が共に響き合う未来

  6. 結びに:竹と音で、心と心を結び続けるために

1. 10周年の節目に寄せて―支えてくださった皆さまへの感謝

「竹と音で、心と心を結ぶ共鳴の時間を」

その想いを胸に歩み続けてきた「竹凛共振プロジェクト」は、おかげさまで10周年という大きな節目を迎えることができました。 この10年間、私たちの奏でる音色に耳を傾け、活動を温かく支えてくださった皆さま、そして共に竹を削り、楽器を創り上げてきた仲間の皆さまに、心より深く感謝申し上げます。

振り返れば、一歩一歩が竹の節のように、力強く、そしてしなやかな積み重ねでした。

2. 始まりは北九州・合馬の竹林から。廃棄される竹への「命の吹き込み」

私たちの活動の原点は、北九州市小倉南区に位置する「合馬(おうま)」地区にあります。 全国的にも筍(たけのこ)の名産地として知られる美しい場所ですが、その一方で、手入れが行き届かなくなった「放置竹林」という深刻な課題も抱えていました。

勢いよく成長し、里山を飲み込んでいく竹たち。かつては生活の道具として重宝された竹も、今では伐採され、廃棄されるだけの存在になりつつありました。

「この美しい自然素材に、もう一度、新しい輝きを与えることはできないだろうか」

そんな問いから始まったのが、放置竹林を活用した楽器制作です。泥にまみれ、捨てられるはずだった竹の一本一本を丁寧に切り出し、乾燥させ、磨き上げる。そこから生まれるのは、世界にふたつとない、唯一無二の楽器たちです。

3. 竹チェロ・竹バイオリンが奏でる、世界にひとつだけの共鳴

竹凛共振プロジェクトが世に送り出してきたのは、竹チェロ、竹バイオリン、そしてピアノや歌とのアンサンブルです。

竹という素材は、中が空洞であることから、驚くほど豊かで素朴な響きを持っています。木製の楽器とはまた違う、まるで竹林を吹き抜ける風のような、あるいは土の温もりを感じさせるような、優しくも力強い音色です。

私たちが大切にしているのは、単に「珍しい楽器」を披露することではありません。 竹と音が重なり合い、そこに集う人々の心がふっと解きほぐされる「共鳴のひととき」をお届けすること。制作インストラクターとして、皆さんと共に竹を削り、弦を張るとき、そこには作り手の想いが音色となって宿ります。そのプロセスすべてが、私たちにとっての大切な音楽なのです。

4. 音楽で環境を守る。地域資源の活性化と「竹文化」の継承

私たちは、音楽家であると同時に、環境と地域社会の守り手でありたいと考えています。

放置竹林を楽器に変えることは、山を守り、地元の資源を有効活用することに繋がります。これは、現代で言われるSDGsの先駆けのような活動かもしれません。けれど、私たちにとってはもっとシンプルな、「故郷への恩返し」に近い感覚です。

北九州の豊かな自然が育んだ竹が、音楽という形を変えて人々に喜ばれる。 この循環は、地域資源の活性化だけでなく、「北九州の新たな文化」としての誇りを生み出しています。地域の子どもたちが竹楽器に触れ、自分の住む街の自然を誇らしく思う。そんな心の豊かさを育むことも、私たちの重要な使命です。

5. 「共鳴」は国境を越えて。自然・音楽・人が共に響き合う未来

この10年で、私たちの活動は北九州を越え、全国、そして少しずつ世界へと広がり始めています。

「竹」という素材は、アジアを中心に世界中で親しまれてきた植物です。けれど、それを精巧なチェロやバイオリンに仕立て、本格的な音楽を奏でるという試みは、多くの国々で驚きと感動をもって迎えられています。

言葉が通じなくても、竹楽器の放つ「共鳴」は、瞬時に人々の心に届きます。 自然・音楽・地域社会――これらがバラバラに存在するのではなく、互いに響き合い、高め合う未来。私たちが創りたいのは、そんな調和のとれた世界です。

6. 結びに:竹と音で、心と心を結び続けるために

これからの10年も、竹凛共振プロジェクトは変わりません。 一本の竹と真摯に向き合い、そこから生まれる音色を、必要としてくださる皆さまのもとへ丁寧にお届けしてまいります。

竹は、しなやかで折れにくく、地下茎でしっかりと繋がっています。 私たちもまた、その竹のように、しなやかな感性を持ち、地域や世界の人々と深く繋がっていきたい。

「竹と音で、心と心を結ぶ共鳴の時間を」

どうぞ引き続き、私たちの歩みを温かく見守っていただけますと幸いです。 10年間の感謝を音色に乗せて。そして、これからの未来へ。

今後とも、竹凛共振プロジェクトをどうぞよろしくお願いいたします。


竹凛共振プロジェクト 竹チェロ制作&竹バイオリン制作インストラクター 式部いろは