平野啓一郎『私とは何か』に学ぶ「分人」と中洲・昼スナの縁

「本当の自分」探しに疲れていませんか?福岡・中洲で「昼スナママ」として活躍するフィッシュ明子さんのVoicyをきっかけに出会った、平野啓一郎氏の著書『私とは何か』。そこに記された「分人」という概念は、自己の多面性を肯定する画期的な考え方でした。北九州にゆかりのある著者による、心が軽くなる哲学をレビュー。自分らしくより自由に生きたいと願うすべての人へ贈る、自己理解を深めるヒントとなれば幸いです。平野啓一郎私とは何かの解説

目次

  1. ピアノ調律師・加藤さんから教わった、中洲「昼スナ」の魅力

  2. フィッシュ明子さんの信念―誰もが経験をキャリアにできる社会へ

  3. 朝の身支度を整えるVoicyで出会った、平野啓一郎『私とは何か』

  4. 「分人」という救い。本当の自分は一つじゃなくていい

  5. 北九州が育んだ哲学。平野啓一郎さんと地元・北九州の不思議な縁

  6. 結びに:多面的な自分を愛して、自由に生きる

1. ピアノ調律師・加藤さんから教わった、中洲「昼スナ」の魅力

私のヨガレッスンには、感性豊かな素晴らしい生徒様がたくさんお越しくださいます。先日、ピアノ調律師の加藤さんから伺ったお話が、あまりに素敵で私の好奇心を強く刺激しました。
福岡・中洲で「昼のスナック(昼スナ)」を営まれている、フィッシュ明子さんという方の存在です。 九州の歓楽街・中洲で「昼」にスナックを開き人が自然と集まってくる場所がある。既存の枠にとらわれない新しい形があるのだと、私の好奇心は大きく膨らみました。

2. フィッシュ明子さんの信念――誰もが経験をキャリアにできる社会へ

加藤さんから教えていただいた明子さんは、多面的なキャリアをお持ちです。 イギリスや日本でのメディア勤務、中国でのブランド立ち上げを経て帰国。その後、福祉大学で学びソーシャルワーカーとして活動された後、九州大学ソーシャルビジネス研究センターで社会課題の解決に従事してこられた実践者です。

彼女が掲げるのは、「誰も諦めなくてもよい社会にする」「誰もがその人の人生のすべての経験をキャリアにできる」という力強い信念。 「昼スナママ」としてカウンターに立ちながら、キャリアコンサルティングや個人理念の言語化セッションを通じて、一人ひとりが「自分らしく生きる・働く」ためのサポートをされています。

3. 朝の身支度を整えるVoicyで出会った、平野啓一郎『私とは何か』

私の朝のルーティンは、Voicy(ボイシー)やPIVOT(ピボット)などの音声メディアを聴きながら、一日の身支度を整えること。耳から入ってくる新しい知識や視点は、私の大切な朝の習慣です。

加藤さんからお話を伺い、さっそく明子さんのVoicyを聴き始めました。彼女の言葉はとても情熱的で一気にその世界観に引き込まれていきました。

そんな中、明子さんの放送で紹介されていたのが、作家・平野啓一郎さんの著書『私とは何か―「個人」から「分人」へ』でした。

明子さんが語るその本の核心、そして「分人」というキーワードは、これまで私自身が心のどこかで感じていた違和感や問いに対して、驚くほど深くリンクしていく出来事でした。

4. 「分人」という救い。本当の自分は一つじゃなくていい

私は子供の頃から、「本当の自分とは何だろう?」という問いを抱えてきました。
相手によって態度が変わる自分を見て「私は一貫性がないのではないか」「演じているのではないか」とどこか後ろめたさを感じていたのです。

しかし、平野さんの提唱する「分人(ぶんじん)」という概念に出会い、気持ちがすぅーっとしました。

分人とは、対人関係ごとの「色々な自分」のこと。
Aさんといる時の自分、仕事場での自分、一人の時の自分。
それらはすべて偽りではなく、すべてが「本当の自分」であるという肯定です。

「本当の自分は一つしかない」という「個人(インディビジュアル)」の考え方から解き放たれ「相手の数だけ自分(分人)がいる」と考える。
人生を重ねるなかで少しずつ気づいてきたこと「奪われるのが嫌だ」と拳を強く握りしめているときは、新しいものを受け取ることさえできない。 自分を一つの枠に閉じ込めようとするのをやめ、多面的な自分(分人)を受け入れたとき、初めて私たちは自由になれるのだと、改めて深く腑に落ちました。

5. 北九州が育んだ哲学。平野啓一郎さんと地元・北九州の不思議な縁

本書を読み進めていて、私をさらに驚かせたのが「北九州」という言葉が何度も登場することでした。

「あれ?」と思い調べてみると、著者である平野啓一郎さんは、学生時代を北九州市で過ごされた、まさに北九州にゆかりの深い方だったのです。

私が今、毎日見上げている皿倉山の山並みや、活動の拠点としている北九州の街並み。 若き日の平野さんが、この街の中で「自分とは何か」と思索を深め、この「分人主義」の種を育んだのだと思うと、言葉にできない親近感が湧いてきました。 

6. 結びに:多面的な自分を愛して、自由に生きる

フィッシュ明子さんのVoicyから始まり、平野啓一郎さんの哲学へと繋がった今回の読書体験。
他者との関係性の中で「自分を再発見する」ことの大切さを教えてくれました。

特定の「本当の自分」を必死に守ろうとする必要はありません。
大好きな人といる時の心地よい「分人」を大切にし、少しずつその割合を増やしていく。

自己理解を深め、より自由に生きたいと願う皆さん。 ぜひ一度、平野啓一郎さんの『私とは何か』を手に取ってみてはいかがでしょうか。 

今回の素晴らしい出会いを与えてくださったピアノ調律師の加藤さん、新しい視点を開くきっかけをくださったフィッシュ明子さん。お二人のおかげで、私は平野啓一郎さんの「分人」という言葉に出会うことができました。

この気づきが、私自身の発信や活動を通じてまた誰かの「分福」へと繋がっていきますように。 今日も自分の中の多様な「分人」を楽しみながら進んでいこうと思います。

多面的な自分をまるごと愛して生きる。 そのきっかけを届けてくださったお三方に、心からの感謝を込めて

ありがとうございました。

式部いろは